ガットと農業 3
国家貿易のあり方をめぐるこうした両者の対立について、ガットの場で正式に決着がつけられたのが、1986年11月の日本の輸入数量制限12品目についてのガット・パネル(紛争処理小委員会)の裁定です。
アメリカは日本が輸入数量制限を行なっている農産物12品目(雑豆、果汁、でん粉等)はガット違反であるとして提訴し、これを受けて紛争処理のパネルがガットに設置されました。
そのさい、当該12品目中には他の残存輸入制限品目と並んで、日本が国家貿易品目としてガットに通報している脱脂粉乳・れん乳・全粉乳・ホエイパウダーがふくまれていたところから、国家貿易の議論が公的の場で争われることとなったのです。
日本の主張は民間貿易を総括するガットの一般協定は国家貿易には適用されないとするものでした。
その論拠としては先にあげた形式的理由以外にガット設立時の歴史的事情をあげ、もともとハバナ憲章には輸入独占会社について特別の規定があったことを強調しました。
形式的法解釈と歴史的理由によって自らの主張を補強しようとしたのです。
これに対してアメリカの主張は、畜産振興事業団が国家貿易企業であるか否かについては疑義がありますが、仮にそれが国家貿易企業であるとしても、ガット第11条の規定(数量制限の一般的禁止)は適用されるべきだというものです。
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