ガットと農業 4
国家貿易企業により輸入制限を行なおうとするならば、ガット第25条のウェーバーを取得すべきであり、
「日本の議論を認めることになれば、どの国も、農産物だろうと、工業品だろうと、輸入だろうと、輸出だろうと、国家貿易企業を通じて、必要な限りどこまでも制限を続けることを許してしまうことになる」
・・・というのがアメリカの論理です。
・・・以上の議論は少なくとも法律論としてみる限りではアメリカの方が理が通っているといわねばならないし、バネノレの裁定も基本的にはこれを支持するものでした。
すなわち裁定は
「ガット11条は、輸入枠による効果的な輸入制限や国家貿易による効果的な輸入制限を含め、すべての輸入制限を禁止している」
・・・として日本の主張を斥け、粉乳・れん乳等の輸入数量制限は明白にクロであると断じています。
こうして従来日本国内で漠然と信じられてきた「国家貿易であるがゆえに数量制限が可能である」という"常識"は正式にガットの場で否定されたのです。
・・・以上によりクロと断定された粉乳・れん乳等は、その後アメリカとの二国間交渉で代償を提供したうえで数量制限を続けることで一応の合意をみましたが、そのことはここでの問題ではありません。
より重要な点は、以上がきたるべきコメ自由化問題の前哨戦としての意味をもっていることです。